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niku to spiceさん、オープンの日に感じたこと
29日は、これまで関わらせていただいた
「niku to spice」さんのオープン日でした。
11時オープンということで、少し早めに現地に到着し、
オープン前の空気感を味わいながらその時間を過ごしていました。
10時40分ごろには、すでに3名のお客さんが店前で並ばれていて、
第1号のお客様を出迎える準備が整っていました。
いよいよだなという空気が漂い、
僕自身もその瞬間を胸に刻んでいました。
実際には、11時から13時ごろまでお店の前に立ち、
お客さんに案内をしたり、通りがかる方に
声をかけたりしていました。
いわゆる客引きというほどではないのですが、
できるだけお店を知ってもらいたい一心でした。
正直に言うと、思っていたほどの来店数には
つながりませんでした。
オーナーさんも同じ感覚を持たれていて、
「やっぱり集客ってむずかしいな」というのが率直な実感です。
でも、ここからが大事なんですよね。
何を学び、次にどう行動していくか。
今日の経験をどう生かすか。
今回のオープンに向けては、お店づくりだけでなく、
Instagramライブを行ったり、インフルエンサーの方々
(合計7〜9名)に来てもらって発信してもらうなど、
できる限りの周知活動も行いました。
思いつく限りのことは一通りやってみたと思っています。
それでも、結果が思うように出なかったということは、
まだまだ工夫の余地があるということ。
オーナーの鳥谷さん、そして
広報を担当されている桑名さんと一緒に、
これから何ができるかを話し合いながら
模索していきたいと思っています。
そして、早速今日の昼過ぎには
「チラシを作って近隣に配ろう」
という話になりました。
泥臭く、地道に、足を動かすことが一番の近道。
夕方には印刷したチラシをお店に届け、
少しでも認知拡大につながるようにと動きました。
お店を作って終わりではなく、
オープンしてからが本当のスタート。
今回の取り組みや改善の過程も、
またここで共有していけたらと思います。
素直であるということ
有名な経営者、松下幸之助さんや稲盛和夫さんの哲学の中に
「素直の心を持つ」という言葉があります。
経営の本や講話の中でもよく出てくる考え方ですが、
正直これまで僕は「素直って、どういう意味で言ってるんやろう」
とピンときていませんでした。
自分は人の話もちゃんと聞くし、アドバイスも
「わかりました」と受け入れるタイプやと思っていたからです。
だからこそ、「自分も素直な方や」と思っていました。
でも最近、ある出来事がきっかけで
「そういうことか」と感じた瞬間がありました。
いろんな経営者さんやお客さんから、
日々アドバイスをもらう機会があります。
「今こういうことで悩んでいるんですが、どう思いますか?」
と相談することもあります。
その中で、言われたことをすぐに実行することもあれば、
「いや、それはちょっと違うな」
と受け入れないこともあります。
受け入れるときは、大抵「確かにな」と思えたときや
「やりやすそう」と感じたとき。
一方で、やらないときは「資金的に難しい」
「タイミングが合わない」などの
理由をつけて見送ることが多い。
でも、よく考えてみたら、その根っこには
「自分の会社のことは自分が一番わかってる」
という気持ちがあることに気づいたんです。
これが「素直じゃない」ということなんだろうなと思いました。
確かに、自分が会社のことを一番考えているのは間違いない。
でも、毎日その中にいると、
当たり前になってしまって見えなくなることもあるんですよね。
たとえば、「うちはトイレも常に綺麗にしている」
と思っていても、他の人から見たら
「もう少しこうした方が良くなるのに」
と気づくことがある。自分では完璧と思っていても、
外の目から見たらまだ改善できるところがある。
それはお店づくりでも同じで、僕は
「店舗づくりを軸にした工務店」
という意識を持っていますが、他の人から見たら
「もっとあなたの強みはここにある」
と言ってもらえることがある。
でも、心のどこかで「いや、違う」と思ってしまう。
つまり、自分の我が「素直さ」を邪魔していたんです。
そう考えると、素直であるというのは
「言われた通りにする」ことではなく、
「自分の考えよりも、相手の言葉に耳を傾ける余白を持つこと」
なんだと思いました。 自分が信じているやり方を一旦横に置いて、
人の言葉をフラットに受け止める。
それができる人が、本当の意味で素直な人なんだと感じました。
せっかくもらったアドバイスを
「いや、うちは違うんで」と跳ね返すのではなく、
「なるほど、そういう見方もあるのか」
と受け入れる余白を持てる経営者でありたいと思います。
僕もまだまだ道半ばですが、これからは
「素直さ」を大事にしながら、
日々の判断や行動に活かしていきたいと思います。
木にこだわるということ
作り手側として、どんなところまでこだわっているのか。
今日はそんな話をしてみたいと思います。
現在、僕たちが関わっている「肉とスパイス」さんの工事がほぼ完了し、
いよいよ10月29日にオープンを迎えます。
現場では僕自身もかなりの時間を過ごしましたが、
本当にいい空間に仕上がったと感じています。
この現場では、解体のときに出てきた古材を
ふんだんに使いました。80年、100年という時間を経た木に、
もう一度新たな居場所を与える。言うなれば
「よみがえらせる」ような感覚です。
こういう仕事が本当に好きで、
つくっていて楽しい瞬間でもあります。
ただ、古材だけでは空間全体を構成できないので、
新しい木も使う必要があります。
そのときに大事なのが「どんな木を選ぶか」。
木といっても、ヒノキ、スギ、マツ、スプルース、オークと、
さまざまな種類があります。さらに節の有無や色味、
木目の表情もすべて違う。
だからこそ、どの材をどこに使うかはすごく慎重になります。
今回の現場では、空間全体のテーマが
「赤みのある、温かい雰囲気」だったので、
スギの中でも赤身が強いものを選びました。
製材屋さんにお願いするときも「節が少なく、赤身が多いものを」
と細かくオーダーしました。そうしないと、
白っぽい木や赤白が混ざった木が届くこともあるからです。
特にこだわったのが、メインカウンターの天板。
ここにはスギの一枚板を使いました。スギは柔らかく、
どうしても傷がつきやすい素材です。
それでもあえて選んだのは、使い込むうちにできる傷やシミも
「味」になると思っているからです。
お店というのは時間とともに変化していくもの。
その変化を楽しめる空間にしたいという思いも込めました。
傷がつくことを恐れるよりも、その歴史を刻んでいくことが、
この店の魅力を育てていくと思っています。
ぜひ、完成した「肉とスパイス」さんに立ち寄ってみてください。
空間の温かみを感じながら、絶品のカレーを味わってもらえると思います。
10月29日オープンです。お楽しみに。
お店づくりの軸を見つける対話
今、お店を始めたいというお客さんと打ち合わせをしています。
その方は自然食品を扱う小売業を考えておられて、
できるだけ多くの人に来てもらえるお店にしたいという
想いを持たれています。 お店を開くとき、やっぱり一番の不安は
「どうしたらお客さんが来てくれるか」なんですよね。
そこを考えるとき、アイデアはいくらでも出てきます。
たとえば、定期的にイベントを開くとか、
旬の野菜を多く揃えるとか、魅力的な商品を置いてみるとか。
ポイントカードで来店動機をつくるのも一つの方法です。
もちろん、どれも悪くない。でも「あれもこれもいいよね」
となってしまうと、お店の方向性がごちゃごちゃになって、
一貫性のない空間やコンセプトになってしまうリスクがあります。
そこで今回は「このお客さんは一体どんなお店にしたいのか」
という根本を掘り下げる時間をとることにしました。
軸となる想いを明確にし、それをもとに商品や空間、
サービスのすべてを設計していくためです。
約2時間の対話を通じて、最初はなかなか本質にたどり着けませんでした。
僕の質問の仕方もまだまだだったのか、
少し表面的な話が続きました。けれども、ある瞬間にお客さんが
「私、こういう商品はあまり売りたくないんです」と話されたんです。
その言葉がきっかけでした。 たとえば青汁や粉末酵素、
ペースト状の健康食品。一般的に「自然食品」と言われるものでも、
その方は置きたくないと言われたんです。僕からすれば、
自然食品のお店には合いそうな商品に思えたのですが、
その違和感こそが大事なポイントでした。
なぜそれを置きたくないのか。そこを掘り下げていくと、
お客さんの本当の想いが見えてきました。
それは「家族の食卓に会話が生まれるような時間を届けたい」
ということでした。粉末やペーストの食品は、
個人の健康には役立つかもしれない。でも
「家族で囲む食卓」や「一緒に食べる楽しさ」にはつながらない。
お客さん自身が、子どもの頃に自然の恵みを受けた
食卓で過ごした時間を大切な思い出として持っていたんです。
だからこそ、その温かい記憶を届けるお店にしたいという気持ちが
根底にあったんですね。 この気づきによって、初めてお店の
「軸」が見えました。 本人の中にはもともとその想いがあったのだと思います。
でも言葉にされていなかった。明文化されていなかったからこそ、
周りのスタッフや関係者にも伝わりにくかった。
お店づくりは多くの人が関わるものなので、
共通の軸があることで初めて一貫性のある空間が
つくれるのだと改めて感じました。
人のことを聞いているときには冷静にわかるのですが、
これは自分自身にも言えることです。
僕自身も「自分は何を届けたいのか」「どうありたいのか」を
日々問い直しています。言葉にし続けて、
精度を上げていくことが大切だと実感しています。
お店の軸を見つけること。それは単なるコンセプトづくりではなく、
その人の生き方を映す作業なんだと感じた打ち合わせでした。