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スプーン一本に宿る、お店の姿勢
先日、あるお客さんとお話ししていて
「やっぱり素敵やなあ」と思った考え方がありました。
それは物を大事にするという姿勢。
その方はカフェを経営されているんですが、
お店で使うスプーン一本にまで、しっかりこだわりを
持っておられるんです。
しかも、ただこだわって買っただけじゃなくて、
長年、大切に使い続けている。
結婚記念日に買ったスプーン
旅行先で出会って連れて帰ってきたスプーン
そんな思い出のあるものを、何十年も
使い続けているそうなんです。
ホットコーヒーを出す時スプーンを添えますよね。
そのスプーン、出す前にさっと磨いてから出す。
そして時には「このスプーンはね…」と、
ちょっとしたエピソードを話されることもあるそうです。
料理だけじゃなくて、器や道具まで含めて
「お店の一部」として大切にしている。
その姿勢が、めちゃくちゃ素敵やなと思いました。
物も、ちゃんと大切にされると輝く。
僕は大工をしているので、道具に対する感覚は
すごく共感しました。
たとえば鉋や鑿(のみ)なんて、
何十年も使い続けることができます。
手入れして、調整して、また使って。
使えば使うほど手になじんで、愛着が湧いてくる。
磨けば磨くほどただの道具じゃなくなる。
その感覚、めちゃくちゃ分かるんですよね。
今は物があふれていて、壊れたらすぐ買い替える、
使い捨てのような時代でもあるけれど
それでも「これは大事に使いたい」と思える
物があるって、すごく豊かなことやなと思います。
スプーン一本に、その人の生き方が出る
コーヒー一杯、400円や500円かもしれない。
でもその一杯の中には
味だけじゃなくて、使っている器やスプーン、
そしてそれを扱う人の姿勢まで全部乗っている。
ただコーヒーを出しているんじゃなくて、
その人の価値観や、お店の在り方まで一緒に
届けているんやなと感じました。
スプーン一本を大切にできる人は、
きっとお客さんのことも大切にできる。
物を大事にする姿勢って、そのまま
経営姿勢にもつながっているんやと思います。
こういうお店は、やっぱり長く続いてほしいし、
自然と多くの人に愛されていくんやろうなと感じた
出来事でした。
日々の仕事の中でも、
改めて「物を大事にする」ということを
大切にしていきたいなと思います。
成功する人の共通点を間近で見た日
先日勉強会を開催しました。
ゲストは、地域でも超有名なお店のオーナーさん。
なんと8名もの方が参加してくださって、その中には
「ずっとファンなんです」「憧れのお店なんです」
という方もいて、改めてそのオーナーさんの影響力と
カリスマ性を感じる時間になりました。
まず皆でランチを頂き、その後トーク形式で
いろいろなお話を伺いました。
その中で、これは成功する人の大原則やなと
感じたことがいくつかあります。
まずひとつ目は、即断即決。
今のお店を始める時も、深く悩みすぎることなく
決断されたそうです。そのスピード感が
チャンスを逃さない強さに繋がっているのだと思いました。
ふたつ目は、圧倒的な行動力。
すでに有名店になっているにもかかわらず、
今もなお新しいことに挑戦し続けている。
柔軟に変化しながら止まらず前に進んでいる姿が
本当に印象的でした。
そして三つ目。
これが一番すごいなと思ったところなんですが、
「大切にしている軸は絶対にブレさせない」ということ。
お店の世界観やポリシーについて「ここは変えません」と
はっきり言い切られていたんです。
中には
「もう少しこうした方がいいんじゃないか」
「清潔感の面でこうした方が…」
といった声が届くこともあるそうです。
それでも、なぜ今のスタイルなのかという理由が
明確にあるから、安易に変えない。
「それは自分のお客さんじゃなかったんだと
思うようにしている」と。
これ、簡単なようで非常に難しいことやと思います。
多くの人に来てほしいと思うと、
つい歩み寄って丸くしてしまう。
でもそれを続けると、最初は尖っていて魅力だったお店が
だんだんどこにでもあるお店になってしまう。
変えていいことと、変えてはいけないこと。
その線引きをちゃんと持っていることが、
長く愛される理由なんやなと感じました。
一見
「自分のポリシーを貫くこと」と
「時代に合わせて柔軟に変わること」は
矛盾しているように見えます。
でも実際は、そのふたつをきちんと使い分けている。
軸はぶらさず、やり方は柔軟に変える。
このバランス感覚こそが、本当に強い人の
在り方なんやと思いました。
そしてもうひとつ感じたのは、オーナーさんの謙虚さ。
どれだけ成功されていても、学ぶ姿勢をやめない。
勉強熱心で、人の話を素直に聞く姿がとても印象的でした。
やっぱり、伸び続ける人には理由がある。
昨日はそれを間近で見せてもらった、貴重な時間でした。
このような機会をくださったオーナーさん、
本当にありがとうございました。
参加くださった皆さんもありがとうございました。
また一緒に、それぞれの挑戦を続けていきましょう。
たった一枚のガラスで、ここまで悩む。これが設計の面白さ
店内と作業側の間に、ガラスを1枚設ける必要が
あるかもしれない、という話です。
今日は、あるお店の改装打ち合わせでした。
お客様、設計士さん、そして僕の3人での打ち合わせです。
事前にお客様とは「どんなお店にしたいか」という
コンセプトをじっくり話してきました。
来店された方と自然に会話が生まれるようなお店。
距離が近くて、気軽に声をかけられるような空間。
そんな、あたたかい関係性が生まれる場所を目指して、
ここまで計画を進めてきました。
ところが、打ち合わせを進める中で、どうしても
必要になりそうな要素が出てきました。
理由は機能面。
粉やほこりが客席側にいかないようにする為の対策です。
衛生面や運営面を考えると、ガラスはあった方がいい。
でも、コンセプトを考えると、本当にそれでいいのか
という迷いも出てきます。
ガラスがあることで、空間にワンクッション生まれる。
声のかけやすさや、距離の近さが少し
変わってしまうかもしれない。
「会話がしにくくなるんじゃないか」
「ガラス越しでも存在に気づけたら十分じゃないか」
たった一枚のガラスの話で、気がつけば1時間近く
議論していました。
外から見れば、ほんの小さなことかもしれません。
でも、空間づくりにおいてはこのたった一枚が
空気感を大きく左右します。
理想のお店の姿と、現実的な機能性。
このふたつの間で、どう折り合いをつけていくか。
設計の現場では、いつもこのせめぎ合いがあります。
簡単に答えが出る話ではないからこそ時間をかけて
考える。そして最終的にはお客様も僕たちも
「これでいこう」と納得できる形を探していく。
そのプロセスそのものが、設計の醍醐味やなと、
あらためて感じた打ち合わせでした。
完成したときに見えるのは、きれいに仕上がった空間
だけかもしれません。
でもその裏には、今日のような「たった一枚」をめぐる
真剣な議論が積み重なっています。
やっぱり、お店づくりは面白い仕事です。
人としての在り方は、仕事の外でも試されている
先日、あるお客様のところへ伺いました。
そのお客様とは、2年ほど前に大きな工事を
させていただいたご縁があります。
玄関ドアの交換工事もさせていただいたのですが
工事後しばらくしてから不具合が出て
部材の交換対応をさせていただきました。
それ以降も、開閉時の音について何度かご連絡を
いただいています。
今回も「キュッキュッと音が鳴る」とのことで、
メーカーさんに来てもらい、合計5人ほどで
現地確認をしました。
取り付け自体に問題はなく、
明確な原因も特定できないまま
部材の調整や清掃を行い
1時間半ほど作業した結果、
ひとまず音は出なくなりました。
ただ、はっきりとした
原因が分からないままの対応になった為
少し気持ちの悪さが残る終わり方ではありました。
それでも最後にお客様がかけてくださった言葉は
本当にありがたいものでした。
また同じようなことが起きたときに
自分たちで何かできることがあれば教えてほしいとか、
建具は気温や湿度で伸び縮みするから、
そういう影響もあるのかもしれないですねとか。
こちらを責めるどころか、一緒に原因を考えようと
してくださる姿勢でした。
何度も同じ箇所で不具合が起きている状況です。
本来であれば強く言われてもおかしくない場面です。
それでも終始やわらかく接してくださる。
その姿に、あらためて自分はお客様に
恵まれていると感じました。
建築の仕事は「クレーム産業」と言われることも
あります。
確かに、いくらでも指摘できるポイントが生まれる
仕事です。
それでも、こうして温かい言葉をかけてくださる方に
支えられて仕事ができていることを、あらためて
実感した時間でした。
帰り道、そのことを振り返りながら、自分自身の
普段の態度についても考えました。
例えば、コンビニで少し待たされたときに
イライラしてしまうことがあります。
その時、店員さんに対して無意識に無愛想な態度を
取っていないかと思うことがあります。
仕事では丁寧に人と向き合おうとしているのに、
日常のちょっとした場面で余裕をなくしてしまう
自分の小ささを感じました。
仕事の場面だけでなく、プライベートでも、どの
瞬間を切り取られても恥ずかしくない人でありたい。
そんな人間的な在り方を大切にしていきたいと、
あらためて思いました。
「神は細部に宿る」と言いますが、それは仕事の
仕上がりだけではなく、日々の振る舞いにも
当てはまる言葉なのかもしれません。
これからも技術だけでなく、人としての
在り方も磨いていきたいと思います。